気象庁が公表している過去平年値のデータを見ると、那覇における2月の沖縄気温は平均気温が17.5℃、日中の最高気温は約20.4℃、朝晩の最低気温は約15.1℃を記録しています。この数値を本州の気象に当てはめると、東京や大阪の4月下旬から5月上旬、いわゆる「過ごしやすい春本番」の数値に極めて近く見えます。この数字だけを信じて旅行計画を立てる人々が、「春服や薄手のカーディガンで十分だろう」と誤認してしまう根本的な原因がここにあります。
しかし、現地の空気感を決定づけているのは、純粋な気温計の数値ではなく沖縄北風寒暖差と風速です。冬の沖縄周辺の気圧配置は西高東低の冬型になりやすく、遮るもののない広大な東シナ海から毎秒5〜8メートルの冷たく湿った北寄り季節風(ミーニシの名残を含めた冬風)が絶え間なく吹き込みます。
気象物理学において広く知られるミスナールの体感温度計算式によれば、風速が秒速1メートル増すごとに、人間の皮膚が感じる沖縄2月体感温度はおよそ1℃下がります。つまり、日中の気温が17℃あったとしても、秒速6メートルの北風に晒されれば、身体が感じる寒さは「気温11℃」と同等まで冷え込みます。さらに日差しが遮られる曇天の日が多いため、体感温度が一桁台近くまで落ち込むことも決して珍しくありません。「南国=暖かい」という先入観は、現地に降り立った数分後には完全に打ち砕かれることになります。