クロミがサブカルチャーを牽引する女性たちに受容されたプロセスを紐解くと、2018年頃から顕在化した「量産型女子」および「地雷系女子」のファッショントレンドに行き当たります。
ピンクと白を基調にリボンやレースを多用する量産型女子がマイメロディを好んだのに対し、ブラックやパープルを基調とし、首輪チョーカーや厚底スニーカー、涙袋を強調した赤系メイクを好む地雷系女子は、必然的にクロミをシンボルとして選び取りました。黒ずきんにドクロという毒気のある意匠は、病み要素やアングラ感を上品に包み隠す絶好のアイコンだったのです。
新宿・歌舞伎町のシネシティ広場周辺に集う「トー横界隈」の少年少女たちの間でも、クロミのマスコットキーホルダーをMCMのリュックやレフレム(REFLEM)のアウターに身につける姿が頻繁に目撃されました。家庭や学校に居場所を見出せない若者たちが、「悪役だけど健気」「周りに理解されなくても自分を貫く」クロミのパーソナリティに自らの孤立感を投影したことは、社会学的にも見逃せない現象です。
原宿や渋谷の量産型・地雷系専門ショップの店員は、当時の熱狂を次のように振り返ります。
「クロミちゃんを身につけることは、単なるキャラ好きを超えて『私は周りの空気に流されない』『弱さや毒も含めて私自身だ』という意思表示に近い意味を持っていました。その共鳴が、現在のファッショングッズトレンドの爆発につながっています」