柚子を搾る際に直面する二大トラブルが、「不快な苦味・渋みの発生」と「大量の種が料理に落ちるストレス」です。これらはすべて、果実の構造を無視した包丁の入れ方に起因しています。
柚子の苦味の主因は、白い中果皮(アルベド)や種子の周囲に含まれる「リモニン」「ナリンギン」といった成分です。果実を力任せに雑巾絞りのようにねじると、これらの中皮細胞が破壊されて果汁に強いエグ味が溶け出してしまいます。また、柚子は他の柑橘類に比べて種子が大きく、ひとつの果実に20個〜30個近く含まれていることも珍しくありません。
苦味を出さず種を落とさないための具体的な手順は以下の通りです。
まず、ヘタを上にして置き、横半分にスパッと切るのではなく、ヘタの脇から縦に包丁を入れて4等分〜6等分のくし形(舟形)にカットします。断面に見えている種をあらかじめ包丁の刃先や竹串で軽く払い落としておきます。次に、果皮を下(手のひら側)に向け、親指と人差し指で果肉の中央を優しく挟み、中心から外側へ向けて押し出すように絞ります。このとき、白皮の繊維をゴリゴリとすり潰さない適度な力加減を保つことが、濁りのない澄んだ酸味を抽出する秘訣です。