公式の結末がこれほど穏やかであるにもかかわらず、なぜ「怖い」というイメージが定着してしまったのか。ファンコミュニティや当時の放送内容を精査すると、3つの明確な要因が浮かび上がってきます。
1. 国民的アニメの「定番都市伝説」のフォーマット流用
『ドラえもん』の「のび太植物状態説」や『となりのトトロ』の「サツキとメイ死亡説」、『クレヨンしんちゃん』の「しんのすけ事故死説」など、長寿ファミリー作品には必ずと言っていいほど「主人公の死と夢オチ」というダークな都市伝説が作られます。『あたしンち』もその知名度の高さゆえに、ネット上の都市伝説生成テンプレートに当てはめられてしまった典型例といえます。
2. 演出や作画がシュールすぎた「単発トラウマ回」の記憶
『あたしンち』の本編中には、時折サイケデリックで不気味な演出が施された単発エピソードが存在します。母の異常な妄想世界を描いた回や、巨大な母が迫り来る悪夢の描写、劇画調に歪んだ顔芸など、幼少期に視聴した子供たちに強烈なインパクトを残した「トラウマ回」の記憶が、長年の歳月を経て「最終回が怖かった」という記憶の改ざん(フォールス・メモリー)を引き起こしたと考えられます。
3. 突然の連載終了発表に伴う憶測
原作者のけらえいこ氏は2012年、17年以上にわたる新聞連載を終了した理由について、「体力の限界や、みかんたちの年齢(高校生)と自身の年齢差が開いたことによる創作上の葛藤」を公に語っています。しかし、長寿連載の突然の終了に驚いた一部読者の間で「何か言えない裏の事情や深刻な理由があるのではないか」と憶測が飛び交い、不吉な噂に拍車をかけました。