芳本美代子の人生を語る上で避けて通れないのが、1996年に結婚した俳優・金山一彦との17年間にわたる結婚生活と、2013年7月に成立した離婚劇です。当時、おしどり夫婦としても認知されていた2人がなぜ別れを選んだのか、その離婚理由の本質は表面的なスキャンダルだけでは説明がつきません。
過去を振り返れば、婚姻中の1999年に元夫の女性関係が報じられる騒動があり、一時は夫婦の危機と囁かれました。しかし、芳本はその際も公の場で動じることなく気丈に振る舞い、家族としての結束を維持することを選びました。その彼女が最終的に別離を決断した背景には、長期的な生活リズムのすれ違いと、夫婦としての関係性の質的変化がありました。
舞台俳優として夜間の稽古や地方公演が続く芳本と、映像作品やバラエティで全国を飛び回る金山。互いに第一線の表現者として生きる中で、生活の共有時間は徐々に減少していきました。当時のインタビューや手記において芳本は、「憎み合って別れたわけではない」と明言しています。男女の情愛という枠組みを超えて、まるで「戦友や兄弟」のような関係へと変容した結果、それぞれの残りの人生を尊重し、独立した個として歩むための「円満な卒業」であったことが浮き彫りになっています。
事実、離婚協議は泥沼化することなく冷静な話し合いのもとで進められ、親権は芳本が持つことで円滑に合意に至りました。金山がその後に再婚した際も祝福の意を示すなど、互いの幸福を純粋に祈り合える間柄を維持したことは、感情的な対立に終始しがちな芸能界の破局例において際立った成熟さを示しています。