電通四季劇場[海]は、1階席747席、2階席467席、合計1,214席で構成される中規模専用劇場です。大劇場にありがちな「演者の表情が豆粒にしか見えない」という極端な距離感はなく、どの席からでも一定の迫力を味わえるよう綿密に設計されています。しかし、現在ロングランを続ける『アラジン』のような大掛かりな舞台装置やフライング演出(魔法の絨毯)を伴う作品では、座席の「高さ」と「角度」によって体験価値が劇的に変化します。
1階席の最大の武器は、役者の表情、衣装のきらめき、そしてオーケストラの重低音が身体を直撃する圧倒的なライブ感です。舞台上のジニーが放つアドリブの細かなニュアンスや、アンサンブルの足音が床を伝って響く感覚は、1階席でしか味わえません。一方で、1階の前方エリアは傾斜が緩やかに設計されているため、前の座席に座る人の座高によっては舞台中央下部の視界が部分的に遮られる場合があります。
対する2階席は、すり鉢状にしっかりとした傾斜角が確保されており、前の人の頭部が視界を遮るストレスが極めて少ないのが特徴です。特に『アラジン』の象徴である群舞のフォーメーションや、アグラバーの宮殿を模したプロセニアム・アーチ全体の光彩、夜空を飛翔するマジックカーペットの立体的な軌道を余すところなく捉える視界が広がります。「細部の熱量を取るか」「世界観全体の調和を取るか」が、1階席と2階席を分かつ最大の境界線です。