施工現場やネットコミュニティ(知恵袋、SNS、建設系掲示板)の書き込みを調査すると、誤った知識が長年信じ込まれている実態が浮き彫りになります。
現場で散見される最大の誤解が、「クリップの向きを1個ずつ交互(ジグザグ)に取り付けたほうが、両側から挟み込めて摩擦が強くなる」という思い込みです。
前述の通り、逆向きのクリップを混ぜると、その箇所で本線側の素線が局所圧壊を起こします。交互締めを行うと本線のあちこちにダメージポイントが分散形成され、結果としてロープ全体の破断リスクを極限まで高めてしまいます。現場のベテラン作業員であっても「昔から交互に留めていた」と語るケースがあり、誤った慣習の恐ろしさが指摘されています。
また、「一度トルク管理して締め付けたから大丈夫」という過信も散見されます。屋外に長期間設置された張り線では、風雨による腐食(サビ)や温度変化、微細な振動の連続によってナットが徐々に緩みます。定期的な目視点検とトルクチェックを怠った結果、突風時にアンカーが抜けて倒壊した事例は後を絶ちません。