目黒寄生虫館の玄関をくぐると、入場ゲートも券売機も見当たりません。誰でも自由に足を踏み入れられる完全無料のスタイルは、1953年の創設以来一貫して守られてきた伝統です。
設立したのは医学博士の亀谷了(かめがい・さとる)氏。戦後の日本で寄生虫病が蔓延していた時代、私財を投じて研究機関を立ち上げました。「寄生虫の正しい知識を広く一般に普及させ、予防と啓発に役立てたい」という創設者の強い信念から、今日に至るまで無料公開が続けられています。
しかし、独立採算の公益財団法人が入館料収入ゼロで施設を維持するのは容易ではありません。標本の保存や研究活動、施設の光熱費には多額の経費がかかります。エントランスに設置された募金箱や、後援会組織への会費、そして後述するグッズ販売の売り上げが、知の殿堂を支える極めて重要な生命線となっています。