猪熊弦一郎といえば、マティスに師事し、戦後の日本洋画界を牽引したモダニズムの旗手だ。その彼が千葉の海岸で拾い集めた波打ち際の石の形から着想を得て描いたのが、「華ひらく」の赤く有機的なモチーフだった。
一方のやなせは、戦地から復員し、生きるための表現を模索していた青年期。日本を代表する大画家と、広告の現場でもがく一人の若きデザイナー。一見すると圧倒的な格差があるように思える二人の出会いが、ひとつの包装紙の上でスパークした。
猪熊の大胆な感性と、やなせの繊細なタイポグラフィ感覚。ふたつの才能が衝突することなく調和した瞬間、日本のパッケージデザイン史における最高傑作が産声を上げた。