通知を受けて、全国86の国立大学では第3期中期目標期間(2016〜2021年度)に向けた大規模な学部・学科の再編計画が策定されました。では、実際の現場で伝統的な文系学部が跡形もなく消滅したのかといえば、事実は大きく異なります。
現場で実際に起きたのは、「学部の看板の掛け替え」と「地域創生・国際・文理融合分野への定員シフト」でした。例えば、従来の文学部や法文学部、教育学部ゼロ免コースなどを母体として、「地域創生学部」「国際共創学部」「学際情報系学部」といった学際的な新学部が次々と立ち上がりました。文部科学省の追跡調査データによると、人文社会科学系学部の純粋な廃止ではなく、定員の再配分による新組織への移行が全体の8割以上を占めていたことが確認されています。
一方で、地方の国立大学を中心に、純粋な哲学・思想・歴史学といった基礎人文学の専攻定員が削られたことは厳然たる事実です。ある地方国立大学の元学部長は、当時の様子を次のように証言しています。「予算配分が成果主義へとシフトする中で、目に見える『地方創生』や『実学』の看板を掲げざるを得なかった。学問の看板を変えることで生き残りを図ったが、研究室の予算や専任教員の削減という形でじわじわと基礎学術の足腰が削られていったのが現場の生々しい現実だった」。