「天然の生け簀」と称される富山湾は、急峻な海底谷と清冽な雪解け水が交じり合う稀有な漁場だ。その湾屈指の拠点である氷見漁港では、約400年の歴史を持つ伝統の越中式定置網漁が今も受け継がれている。魚を追い込まずに自然に網へと誘う漁法は、魚体を傷つけず鮮度を極限まで保つ知恵の結晶だ。
早朝の市場には、氷見漁業協同組合の目利きたちが厳選した魚がずらりと並ぶ。キトキト(富山の方言で新鮮)な魚たちは、競り落とされてからわずか数十分で隣接する施設へと運ばれる。地域の水産業を支える漁師たちの情熱と卓越した流通スピードが、他では決して真似のできない極上の食体験を支えている。