『MOONGLOW』が日本のポップス史において決定的とされる理由は、単なるセールス上の成功にとどまりません。本作は第21回日本レコード大賞において「ベスト・アルバム賞」を受賞し、音楽業界および批評家筋からもその卓越したサウンドクオリティが絶賛されました。
当時、先行シングルとしてリリースされた「愛を描いて -LET'S KISS THE SUN-」は、JALの沖縄キャンペーンソングに起用されスマッシュヒットを記録。洗練されたリゾート感と躍動感あふれるホーンセクション、そして突き抜けるようなボーカルは、お茶の間に山下達郎の存在を強く印象付けました。
アルバム全体を通じて特筆すべきは、名エンジニア・吉田保とのタッグによって生み出された音響空間の構築です。多重録音による重厚なコーラスワークと、タイトでありながら有機的なうねりを持つリズム隊のアンサンブルは、当時の歌謡曲中心だった日本の音楽シーンにおいて異次元の完成度を誇っていました。洗練されたスタジオワークと大衆的なポップネスが見事に融合したことで、音楽評論家からのレビューでも「新しい時代の幕開けを告げるサウンド」として極めて高い評判を獲得しました。