湯田中温泉よろづや完全ガイド|桃山風呂と松籟荘の現在を徹底解剖

湯田中温泉よろづや完全ガイド|桃山風呂と松籟荘の現在を徹底解剖

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湯田中温泉よろづやを語る上で欠かせない最大の象徴が、昭和14年(1939年)に完成した大浴場「桃山風呂」です。日本の伝統美を結集したこの浴場は、2003年に国の登録有形文化財に指定され、温泉ファンや建築関係者の間では「日本の温泉大浴場ベスト10」にも選ばれる名建築として知られています。

桃山風呂の扉を開けると、そこには寺社仏閣を思わせる荘厳な空間が広がります。釘を一本も使わずに組み上げられた純木造の伽藍(がらん)建築、見事な格天井(ごうてんじょう)、そして湯船を取り囲む彫刻の数々は、昭和初期の宮大工が持てる技術の粋を集めた結晶です。湯船には、湯田中温泉の豊かな自家源泉が一切の加水・加温なしの完全かけ流しで注がれており、肌にしっとりと馴染む弱アルカリ性の単純温泉が日々の疲労を優しく解き放ちます。

さらに、桃山風呂に隣接する庭園露天風呂も見逃せません。信州の大自然を借景にした日本庭園のなかに配された岩風呂は、春の新緑、夏の木漏れ日、秋の紅葉、そして冬の雪見風呂と、四季折々の表情を見せてくれます。館内にはもう一つ、昭和モダンなタイル画が美しい「東山風呂」があり、桃山風呂と東山風呂は時間帯による男女入れ替え制が採用されています。両方の名湯をじっくりと堪能するためにも、チェックイン直後から夜、翌朝にかけての入浴スケジュールをあらかじめ確認しておくことが推奨されます。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。