薬局の棚に並ぶ市販薬の箱には、未開封状態で3年程度持続する使用期限が堂々と印刷されている。だが、調剤薬局で受け取る医療用医薬品(処方箋医薬品)の考え方は根本的に違う。医師が処方する薬は、原則として「処方された日数で飲み切る」ことを前提にしており、患者の手元に渡った瞬間からカウントダウンが始まっている。
薬剤師が工場出荷時の大型ボトルやアルミ包装を開封し、一包化や小分け容器への移し替えを行った時点で、空気中の水分や酸素への曝露が始まる。たとえPTPシート(アルミとプラスチックの包装)のままであっても、調剤されてから1年以上の長期保管を想定している処方薬は極めて稀だ。自己判断でのストックは、治療薬を劣化物質へと変貌させる引き金になりかねない。