アプローチデッキにひときわ強い存在感を放って置かれているのが、鮮やかなグリーンの巨大な「青いリンゴ」のオブジェクトだ。訪れる人々が思わず足を止め、記念写真を撮影する人気のスポットだが、この造形には建築家・安藤忠雄氏の深い思想が込められている。
このモチーフの着想源となったのは、アメリカの詩人サムエル・ウルマンの詩『青春』だ。「青春とは人生の特定の時期を指すのではなく、心のあり様を言うのだ」という一節で知られるこの詩。安藤氏は、熟しきっていない青いリンゴを「未熟さ」と「可能性」の象徴として捉えた。幾歳を重ねようとも青いリンゴであり続けたい、挑戦する心を失わずに生きていきたいという強い思いが、この一作に結晶している。
グローバルな建築・デザイン業界においても、こうした物語性を空間のモチーフとして大胆に組み込む手法は高い評価を受けている。子どもたちには「無限の未来」を、大人たちには「情熱の再燃」をそっと促す装置として、青いリンゴはこの文化施設を見守り続けているのだ。