日本のポップカルチャーにおける男性像の変遷を振り返ると、メディアが提示する理想像の変化がよくわかる。2010年代半ば、株式会社講談社をはじめとする出版各社の人気コミックを原作とした少女漫画実写化作品が映画界を席巻した。その中心で圧倒的な存在感を放ち、スクリーンの王道王子様として君臨したのが山﨑賢人だった。非の打ち所がない容姿と、二次元から抜け出したようなプロポーションは観客を熱狂させた。
さらに、彫刻のような完璧な美貌でViVi国宝級イケメンランキングの殿堂入りを果たした吉沢亮のように、圧倒的なビジュアルアイコンは常に日本のエンターテインメント産業の熱源であり続けている。
しかし現在、王道の美形像はそのままに、受け手が求めるキャラクターの幅は爆発的に広がった。完璧無欠のヒーローよりも、どこか不器用で、葛藤や繊細さを抱えた人物像に共感が集まる時代へとシフトしている。