彼が通っていたのは、県内でも有数の進学校として知られる埼玉県立越谷北高等学校だ。偏差値67という高いハードルを軽々と越えて入学したものの、高校生活の滑り出しは意外にも静かだった。中学時代までは目立つタイプだった少年が、高校に入ると一転して「目立ちたくない」と影を潜めるようになる。
休み時間になれば、自室にこもるかのように席を立たず、ひたすら寝たふりを決め込む日々。派手なグループに属することもなく、静かに自分の世界を保っていた。だが、本人が隠れようとすればするほど、その洗練された佇まいは周囲の視線を集めてしまう。気取らない姿勢こそが、逆に学内で異彩を放っていたのだ。