市原隼人の名を茶の間に決定づけた金字塔といえば、やはりTBSテレビ系列で放送され社会現象となった『ROOKIES』だろう。不良少年たちが甲子園を目指す不朽の学園ドラマにおいて、主人公・安仁屋恵壹役を演じた彼の眼光と熱演は、当時の若者たちの胸を熱く焦がした。泥にまみれ、本気で涙を流す泥臭い姿は、虚構のドラマを現実のドキュメンタリーへと変貌させる凄みを持っていた。
しかし、彼の魅力は若き日の熱血漢にとどまらない。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で見せた武士・八田知家役は、視聴者の度肝を抜いた。無言で立ち振る舞うだけで醸し出される色気、たくましく鍛え上げられた上半身、そして不敵な笑み。時代劇の枠組みを食い破るような異彩を放ち、往年のファンだけでなく新たな層の心をも掴み取ったのだ。