別府のランドマークとして半世紀以上君臨してきた老舗に、地殻変動が起きたのは数年前のことだ。総投資額数百億円規模とも噂される「杉乃井ホテル大規模リニューアルプロジェクト」。老朽化した既存棟を躊躇なく解体し、最先端の宿泊棟を次々と立ち上げる姿は、全国のリゾートホテル産業関係者を瞠目させた。主導したのは、運営を担うオリックス・ホテルマネジメント株式会社である。グループの舵を取るオリックス株式会社CEOの井上亮氏は、観光立国日本のポテンシャルを冷徹かつ大胆に見定め、地方都市の巨大旅館を世界水準のデスティネーションリゾートへと脱皮させる決断を下した。
レジャー・観光開発業において、伝統と革新の調和は常に難題として立ちはだかる。だが杉乃井が選んだのは、妥協なきエンターテインメントへの傾倒だった。温泉情緒に寄り添うだけの甘えを捨て、ファミリー層が一日中遊び倒せる巨大空間の構築に賭けたのである。その象徴こそが、異なる魅力を放つ2つの水辺エリアだ。