ヌートバー選手の代表選出を語る上で欠かせないのが、生まれ故郷であるアメリカ・カリフォルニア州エルセグンドでの生い立ちと、母・久美子さんから注がれた愛情です。
父親のチャーリー・ヌートバーさんはオランダ系アメリカ人で、学生時代に語学留学で日本に滞在した経験を持つ知日派です。母の久美子さんは埼玉県東松山市出身の日本人で、アメリカ留学中にチャーリーさんと出会い結婚しました。3人きょうだいの末っ子として生まれたラーズ選手は、家庭内で日本文化に親しみながら育ちました。
彼のフルネームは「ラーズ・テイラー=タツジ・ヌートバー(Lars Taylor-Tatsuji Nootbaar)」。ミドルネームの「タツジ」は、日本に住む母方の祖父・榎田達治(たつじ)さんから名付けられたものであり、日本の家族や親族からは幼少期より「榎田達治(えのきだ たつじ)」の名で呼ばれていました。
少年時代、エルセグンドのリトルリーグで白球を追っていた頃から、久美子さんが握る手作りのおにぎりや納豆ご飯を食べて育ったエピソードは有名です。特番インタビューや手記において、久美子さんは「息子は小さい頃から『いつか侍ジャパンのユニフォームを着て、じいちゃんや日本の家族にプレーを見せたい』と口にしていた」と明かしています。彼にとって日本代表入りは、突如降って湧いたビジネスライクな話ではなく、幼少期からのアイデンティティに根差した長年の夢でした。