本作の核心となるのは、主人公・平ワコ(31歳)が下した最終的な選択です。3年同棲を続け、空気のような存在でありながらも将来の決定打に欠ける彼氏・ふうくん(青井ふうた)との停滞した日常。そこへ突如現れたのが、趣味の映画を通じて魂が共鳴してしまった16歳の高校生・伊古ユメアキ(伊古くん)でした。
物語のクライマックスにおいて、ワコとふうくんの関係は修羅場を経て完全に破綻を迎えます。浮気が発覚した際のふうくんの怒りと情けなさ、ワコの自己嫌悪と抑えきれない衝動の描写は、読者が思わず目を背けたくなるほどのリアリティを放っていました。同棲解消後、ワコは伊古くんとの交際へ踏み切りますが、そこで待ち受けていたのは「15歳の年齢差」と「社会的立場の乖離」という冷酷な現実でした。
高校生である伊古くんの輝かしい未来や可能性を、30代フリーターの自分が奪ってしまうのではないかという罪悪感、周囲からの奇異の視線、そして生活感覚の決定的なズレ。ワコは伊古くんを心から愛おしく思いながらも、この関係が互いを摩耗させることに気づき、自ら別れを切り出します。
最終的にワコが下した決断は、「ふうくんに戻るでもなく、伊古くんにすがるでもなく、自分の足で立つ」という孤高の自立でした。誰かに養ってもらう結婚や、若さに逃避する恋愛ではなく、自分自身の生活とアイデンティティをゼロから構築し直す道を選んだのです。