郷ひろみ「言えないよ」歌詞が暴く大人の切なさと制作秘話の真相

郷ひろみ「言えないよ」歌詞が暴く大人の切なさと制作秘話の真相

郷ひろみ「言えないよ」歌詞が暴く大人の切なさと制作秘話の真相を徹底追究! 知っておきたい トピックの裏側を分かりやすく展開します。

1990年代初頭、郷ひろみは大きな転換期を迎えていました。70年代から80年代にかけてトップアイドル・エンターテイナーとして時代を牽引してきた彼は、さらなる高みを目指して単身ニューヨークへと渡り、本格的なヴォイストレーニングに打ち込みました。従来の華やかなハイトーンに加え、豊かな中低音の響きと繊細なファルセット(裏声)を体得した郷に対し、プロデューサー陣が用意したのが本格的な大人のバラード路線でした。

そこで招聘されたのが、作詞家の康珍化と作曲家の都志見隆です。康珍化は中森明菜の『ミ・アモーレ』や髙橋真梨子の『桃色吐息』など、情念と都会的な洗練を両立させる名手。一方の都志見隆もまた、美しく哀愁を帯びたメロディラインで時代を彩るトップメロディメーカーでした。

制作関係者の証言によると、制作現場では「郷ひろみが持つ天性の華やかさを一度抑え込み、一人の不器用な大人の男としての孤独をいかに引き出すか」が徹底的に議論されたといいます。サビの「言えないよ」というストレートな言葉は、技巧を凝らしたレトリックを削ぎ落とした末に生まれたもの。都志見が付けた切なく跳躍する旋律に対し、康が乗せた「ためらいの言葉」が見事に合致し、TBS系金曜ドラマ『お見合いの達人』(1994年放映)の主題歌タイアップとともに、オリコンチャートを駆け上がることとなりました。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。