長期シリーズゆえに、ネット上やファンの間で都市伝説のように語られている誤解がいくつか存在します。実際の映像記録と照らし合わせ、その真相を検証します。
誤解1:第1話から「格さんが印籠を出す形式」が決まっていた?
これは完全な誤解です。放送開始当初の第1部では、印籠を出す演出自体が毎回の定番ではありませんでした。黄門様自らが身分を明かす懐紙や書状を見せたり、助さんが印籠を掲げたり、時には光圀本人が懐から印籠を取り出す場面もありました。
「格さんが印籠を出し、助さんが悪人を牽制する」というお決まりの黄金パターンが完全に様式美として固定されたのは、第4部から第8部にかけての横内正・格さん時代であり、現場の試行錯誤と視聴者の熱狂的な支持から生まれた演出でした。
誤解2:格さんは怪力体術専門で、刀は一切抜かない?
格さんは素手や長棒・相撲技で戦うイメージが定着していますが、劇中で全く抜刀しないわけではありません。相手が真剣で命を奪いにくる大人数の刺客集団や武芸の達人である場合、格さんも腰の刀を抜き、見事な剣術を披露します。ただし、番組の演出方針として「助さんが刀の鋭さ、格さんが体術の豪快さ」という差別化を徹底していたため、格さんが刀を抜くシーンはクライマックスの重要な局面に限定されていました。
誤解3:二人は最初から対等無二の大親友だった?
劇中の設定では、藩士としての家格や身分にわずかな違いが存在します。佐々木家は代々の名門剣術指南の家系であり、渥美家は実直な実務官僚の家系。初期シリーズの脚本では、助さんが格さんを「堅物」「融通が利かない」とからかい、格さんが助さんを「軽薄」「女たらし」と憤慨する反発シーンが多々描かれていました。数々の修羅場と諸国漫遊の苦難を共に乗り越える中で、言葉を交わさずとも背中を預け合える究極の信頼関係へと昇華していった経緯があります。