「なぜ、何の前兆もなく突然歩けなくなるのか」。その突然の激痛の理由を探る上で、まず疑うべきは足底を支える強靭な線維組織の破綻です。足裏には、かかとの骨から足の指の付け根へと扇状に広がる厚い結合組織「足底腱膜」が存在します。この腱膜が過度な牽引力や圧迫を受け、微小断裂と炎症を起こす病態が足底腱膜炎(足底筋膜炎)です。
足底腱膜炎の極めて顕著なサインが、「朝起きると痛い」という現象です。睡眠中、縮んで修復しかけていた足底腱膜が、起床直後の第一歩目で体重によって一気に引き伸ばされ、鋭利な痛みを引き起こします。特にかかとの痛みとして自覚されるケースが約7割を占めますが、アーチの中央に負担が集中した場合は土踏まずの激痛となって現れます。
しかし、足裏の激痛を引き起こす疾患は足底腱膜炎だけに留まりません。足指の付け根(特に第3・第4趾間)にしびれやピリピリとした電撃痛が走る場合は、神経が圧迫されるモートン病の初期症状が疑われます。さらに、足裏のアーチを構成する骨自体に過負荷が蓄積して起きる中足骨の疲労骨折や、腱膜の牽引によって骨が棘状に変形する踵骨棘(しょうこつきょく)の骨膜刺激も、急激な歩行障害の引き金となります。
加えて、見落としてはならないのが痛風発作の可能性です。痛風は足の親指の付け根(第1中足趾節関節)に好発することで知られますが、尿酸塩結晶の沈着部位によっては、足裏のアーチ周辺やかかと周辺に突発的な発赤・熱感を伴う激痛をもたらす臨床例が報告されています。