「大阪の公立高校は崩壊するのではないか」――2024年度から段階的に導入され、2026年度に入って高校3学年全体への適用が完了した「私立高校授業料の完全無償化(所得制限の撤廃)」の議論が持ち上がった当初、教育界にはそんな危機感が充満していました。しかし、蓋を開けて判明したのは「公立全体の凋落」ではなく、恐ろしいほどの「極端な二極化」でした。
毎年の志願状況を伝える大阪府公立高校倍率速報の推移を詳細に辿ると、文理学科10校の平均確定倍率は1.3倍〜1.5倍前後と極めて高水準で横ばいを維持しています。とりわけ北野高校や三国丘高校では、私立無償化を契機に難関私立高校の特待生枠を確保した上で、ノーリスクでトップ公立にチャレンジする受験生が増加しました。三国丘高校進学実績が国公立現役合格率で過去最高水準を更新し続けている事実も、この「強気の出願層」に支えられています。
その一方で、大きな打撃を被ったのが偏差値50前後から55以下の中堅・下位普通科高校です。これまで公立優位だった層が、設備環境や手厚い補習体制を誇る近隣の私立高校へと一斉に流出しました。その結果、府内公立高校の3割前後が定員割れを起こすという異常事態が生じています。実質的な大阪公立普通科ボーダーは大きく沈下し、従来の偏差値序列では説明がつかない合否のゆがみが生じているのが現在の現場の実相です。