古着取引において初心者が最も陥りやすい落とし穴が、「プリントに刻まれた西暦=Tシャツの製造年」と短絡的に信じ込んでしまうミスです。鑑定のプロが注視する2つの決定的な盲点を明かします。
まず警戒すべきは、フルーツオブザルーム コピーライト 年代の不一致問題です。Tシャツの裾やプリントの端に小さく印字された「©1992」などの表記は、あくまでそのアートワークやデザインが著作権登録された年を示しているに過ぎません。人気バンドのアルバムジャケットや映画のアートワークは、初回プレス以降も同じ版を使って1990年代後半、あるいは2000年代以降に再生産(リプリント)されることが日常茶飯事でした。プリント下に「©1991」と記されていても、タグがメキシコ製サテンタグであれば、その個体は90年代後半以降に刷られた後発品であると結論づけられます。
もうひとつの重要指標が、フルーツオブザルーム シングルステッチの存在です。80年代から90年代初頭のTシャツは、袖口や裾口の縫製が1本のステッチで縫い止められた「シングルステッチ(天地縫い)」で作られていました。90年代半ばを過ぎると、耐久性と生産効率を求めて2本の平行ステッチで縫う「ダブルステッチ」へと業界全体が一斉に切り替わります。そのため、「シングルステッチ=90年代前半以前のヴィンテージ」という図式が成立します。
ただし、ここにも例外が存在します。90年代中盤の過渡期には「裾はシングルだが袖はダブル」といった変則的な個体が存在するほか、近年のブームを逆手に取り、近年のダブルステッチ製品を解いてわざわざシングルステッチで再縫製した悪質なリメイク品が市場に出回っています。糸のエイジング具合や縫い代の折り返し幅まで注視しなければ、ステッチ単体での過信は危険です。