インターネット上の相談窓口や知恵袋、SNSを調査すると、内科を受診して睡眠薬を断られた患者たちの切痛な声が膨大に蓄積されています。診察室で交わされる対話の実態を追うと、患者側の期待値と医師側の警戒感との間に、深いコミュニケーションの断絶が浮き彫りになります。
知恵袋に寄せられた典型的な投稿では、「仕事のストレスで2週間ほぼ一睡もできず、頭痛と吐き気に耐えかねて内科を受診したところ、『睡眠薬は依存性があるから出せない。ぬるめのお風呂に入ってリラックスしてください』と言われて泣きそうになった」という体験談が数多く見られます。患者にとっては生命の危機に等しい苦痛であるにもかかわらず、医師からはまるで生活態度を嗜められたかのように感じられ、「まるで薬物中毒者のように疑われた」と深い不信感を抱くケースが少なくありません。
一方で、都内で一般内科クリニックを開業する院長への取材データや医師コミュニティの証言からは、現場の切迫した苦悩が浮かび上がります。
「『今夜寝られないと死んでしまうから、一番強いマイスリーを1か月分出してほしい』と強い剣幕で要求される初診患者さんが後を絶ちません。しかし、初対面で既往歴も正確に把握できない状態において、乱用や転売、オーバードーズ(過量服薬)のリスクがある向精神薬を処方することは、医師免許を危険に晒す行為です。決して冷遇しているのではなく、患者さんの安全を守るために専門医へのトリアージを行っているのが本音です」
近年では、院内問診に症状検索エンジン「ユビー」などのAI医療問診システムを導入するクリニックが急増しています。来院者が問診端末で「不眠」「気分の落ち込み」「強い不安」などを入力した段階で、AIが「心療内科領域の受診が推奨されます」と自動判定し、内科医の診察室に入る前に他科受診を案内されるケースも増えています。システマチックな振り分けが進んだ結果、受診者側の「門前払い感」がより増幅されている側面は見逃せません。