心臓は通常、右心房にある「洞結節」から規則正しい電気信号が送られることで、1分間に60〜100回の拍動を維持しています。しかし、上室性頻拍の原因とメカニズムの根底にあるのは、心房と心室の境界付近に先天的に存在する「余分な電気の通り道」です。何らかの期外収縮(脈の飛び)をきっかけに、電気信号がこの回路の中でぐるぐると旋回し続ける「リエントリー現象」が発生することで、突然スイッチが入ったように超高速の拍動が始まります。
代表的な病型には、房室結節の内部で旋回が起きる「房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)」と、心房と心室を繋ぐ副伝導路(ケント束)を介して旋回する「房室リエントリー性頻拍(AVRT:WPW症候群に伴うもの)」の2つがあり、全体の約9割を占めます。臨床現場において上室性頻拍の心電図波形を確認すると、心室由来の不整脈とは異なり、幅の狭い規則正しい波形(Narrow QRS)が高速で連続しているのが特徴です。
「階段を駆け上がったような激しい動悸が、何の前触れもなく始まり、止まる時もパチンとスイッチを切ったように突然止まる」――このオン・オフが明確な発作の現れ方こそが、発作性上室性頻拍を疑う最大のサインとなります。