建設業界における法定福利費の算出は、一般企業の給与計算とは大きくプロセスが異なります。工事現場では、複数の下請企業や日雇い労働者、一人親方が複雑に入り混じるため、個々の作業員の基本給を積み上げて算出することが極めて困難だからです。そこで広く採用されているのが、労務費率法定福利費計算の方式です。
国土交通省が定めた標準的な算出モデルでは、以下の計算式を用いて法定福利費を算出します。
【建設業における法定福利費の標準算出式】法定福利費 = 法定福利費の対象となる労務費 × 法定福利費負担率
※対象労務費が直接算出できない場合:
対象労務費 = 直接工事費 × 国土交通省発表の工種別「労務費率」
ここで用いる「法定福利費負担率」は、事業主負担分の健康保険料率、厚生年金保険料率、雇用保険料率、労災保険料率、子ども・子育て拠出金率を合算した係数です。一般的には約16.0%〜16.5%前後の数値が設定されます。
具体的な法定福利費計算シミュレーションを見てみましょう。例えば、直接工事費が1,000万円で、該当する専門工種の公定労務費率が30%(労務費=300万円)、法定福利費負担率が16.3%に設定されている案件の場合、次のような計算になります。
- 労務費の算出: 10,000,000円 × 30% = 3,000,000円
- 法定福利費の算出: 3,000,000円 × 16.3% = 489,000円
- 見積書への反映: 直接工事費とは別枠、または内訳明細欄に「法定福利費(事業主負担分):489,000円」と明記する
自社でオリジナルの法定福利費エクセル計算シートを作成する場合は、工種名を選択すると対応する労務費率が自動入力され、直接工事費を入力するだけで法定福利費が瞬時に弾き出されるマクロや関数(VLOOKUP関数など)を組んでおくと、積算ミスの予防に役立ちます。