サウナブームの合言葉となった「ととのう」という状態は、極限の緊張と緩和の落差によってもたらされる神経伝達物質の放出現象です。サウナの熱気で交感神経を限界まで高め、その直後に15℃前後の水風呂に入ることでアドレナリンやノルアドレナリンが大量分泌されます。そして外気浴(休憩)に入った瞬間、一気に副交感神経へとスイッチが切り替わります。
この急激な自律神経のジェットコースターによって、脳内にはβ-エンドルフィンが満ち、圧倒的な多幸感と「頭がクリアになる感覚」が生まれます。思考をシャットダウンし、デジタルデトックスを行いたいビジネスパーソンにサウナ愛好者が多いのはこれが理由です。
一方、岩盤浴がもたらす自律神経への影響は、徹底した副交感神経の優位です。薄暗い照明、穏やかな温かさ、静寂な空間の中で横たわる姿勢は、心拍数を落ち着かせ、内臓の血流を増加させます。興奮状態を鎮め、慢性的な不眠やイライラを解消するアプローチとして極めて有効です。
美肌効果の観点でも違いは顕著です。サウナは強力な血行促進によって皮膚毛細血管に酸素を行き渡らせ、肌のターンオーバーを活性化させます。ただし、乾燥しやすい室内環境と急激な脱水が伴うため、入浴後の徹底的な保湿ケアを怠ると逆に肌荒れを招くリスクがあります。対する岩盤浴は、前述した皮脂腺からの良質な皮脂分泌により、入浴後も肌の水分保持力が高まり、モチモチとした質感を実感しやすいという強みがあります。