ドラッグストアの店頭で「サンテゾーンと同じ成分の軟膏を売ってほしい」と薬剤師に詰め寄る一般利用者の姿は珍しくありません。しかし、サンテゾーン0.05%眼軟膏と同一成分を含む市販薬(OTC医薬品)は日本の医薬品市場に一切存在しません。
ネット上のQ&Aコミュニティでは「ステロイド入りの皮膚用軟膏を目尻に塗れば代用できる」といった極めて危険な書き込みが散見されます。しかし、皮膚用ステロイド外用薬を目の周囲に漫然と使用すると、経皮吸収された成分が眼球内へ移行し、後述する不可逆的な視覚障害を引き起こす恐れがあります。厚生労働省が眼科用ステロイドを要指導医薬品や一般用医薬品としてOTC化(市販化)しない最大の理由は、眼圧検査を伴わない自己使用が失明リスクに直結するためです。
また、昨今では海外製ジェネリックを謳う医薬品の個人輸入代行サイトを利用してデキサメタゾン軟膏を処方箋なしで入手しようとする動きも報告されています。しかし、正規の流通過程を経ていない輸入品は無菌性が担保されていないケースが多いうえ、万が一眼球内に重篤な副作用や感染症が生じても、公的な「医薬品副作用被害救済制度」の救済対象から完全に除外されます。処方箋医薬品として指定されている制度の背景には、利用者の視機能を不可逆的な損傷から守るための強固な防壁が存在しているのです。