ファッション界だけでなく、自動車業界においても馬マークは至高の存在です。特に「跳ね馬」と称されるフェラーリのエンブレムは、世界で最も認知度の高い自動車ロゴの一つです。
フェラーリ「カヴァッリーノ・ランパンテ」の由来
馬のマーク 車のブランド フェラーリのエンブレム「跳ね馬(カヴァッリーノ・ランパンテ)」は、創業者のエンツォ・フェラーリが自らデザインしたものではありません。第一次世界大戦で活躍したイタリア軍のエースパイロット、フランチェスコ・バラッカが自機の側面に描いていたパーソナルマークが起源です。
英雄として戦死したバラッカの母である伯爵夫人が、1923年のレースで勝利した若きエンツォに対し「息子の跳ね馬をあなたのマシンにつければ、幸運をもたらすでしょう」と託した歴史的事実が、フェラーリの公式社史に記録されています。背景の鮮やかな黄色は、エンツォの故郷モデナ市のシンボルカラーです。
ポルシェとマスタング|同じ馬でも異なる系譜
自動車界でフェラーリと並び馬を冠するのがドイツのポルシェです。ポルシェの本社があるシュトゥットガルト市は、古ドイツ語で「馬の園(牧場)」を意味し、市の紋章そのものが「後足で立つ黒馬」でした。ポルシェのクレスト(盾型エンブレム)の中心には、まさにこのシュトゥットガルトの馬が配置されています。
また、アメリカのフォード・マスタングは、北米大陸の野生馬が風を切って全力疾走する姿(ギャロッピングホース)を描いており、ヨーロッパの貴族的な格式とは対照的な「自由とフロンティア精神」を象徴しています。同じ馬という動物を扱いながら、国や企業風土によって記号の意味合いが劇的に変化する好例です。