福岡といえばスパイスカレーの聖地だが、その中心地は今も昔も薬院だ。しかし、ここ1〜2年でそのスタイルは大きな転換期を迎えた。従来のインドやスリランカの伝統的製法を超えた、「第3世代」と呼ばれる和出汁融合系スパイスカレーの独壇場となっている。
焼きあご(トビウオ)や椎茸から引いた濃厚な和風出汁に、自家焙煎したコリアンダーやカルダモンを絶妙な塩梅で合わせる。具材には博多の地鶏や旬のタケノコ、菜の花が躍る。一口食べた瞬間に広がるのは、スパイスの刺激ではなく、奥深い旨味の余韻だ。行列に並んででも食べる価値がある一皿が、ここにはある。