国内の審査体制が厳格化するにつれて、違法な取引の舞台は海外へとシフトした。その象徴となったのが、2026年に警視庁がNPO法人「難病患者支援の会」の幹部らを逮捕した渡航移植仲介事件である。
この事件では、厚生労働大臣の許可を得ずに無許可で臓器移植の仲介業務を行い、ベラルーシやキルギス、ウズベキスタンといった国々へ日本人患者を案内していた実態が白日の下に晒された。患者側が支払った費用は1回あたり1500万〜2000万円以上にのぼり、現地で提供された臓器の出どころには深刻な人権侵害の疑いが持たれている。
国際社会では2008年の「イスタンブール宣言」以降、自国のドナー不足を他国の貧困層からの臓器調達で補う「移植ツーリズム」を厳しく禁じている。経済的に困窮した現地住民がわずかな金銭のために腎臓を売り渡す構造は、国際的な搾取そのものだ。海外の闇ルートに依存した渡航移植は、感染症のリスクや術後管理の不備による患者自身の死亡事故も招き、極めて危険な賭けとなっている。