十字架の造形が持つ美しさは、極限まで削ぎ落とされた垂直と水平の交差にある。縦のラインは天と地、すなわち神と人間とのつながりを示し、横のラインは世界に広がる他者との関係性を表す。歴史的にみれば、このシンプルな構図の中にイエス・キリストの苦難と復活という壮大な物語が凝縮されてきた。
中世から近世にかけて描かれたキリスト教美術において、クロスは光と影を際立たせるための決定的なモチーフだった。フレスコ画やステンドグラスの中で燦然と輝いていたグラフィックが、現代では皮膚という生きたメディアに移植されている。歴史的なカトリック教会の厳格な教理と、ストリートカルチャーの自由奔放な感性が交差する場所に、新しいモチーフの文脈が生まれているのだ。