島本和彦氏の代表作『アオイホノオ』は、1980年代初頭の大阪芸大を舞台に、漫画家志望の主人公・焔燃(ホノオモユル)が、同級生の庵野秀明をはじめとする仲間たちの才能に圧倒され、もがき苦しみながら成長していく姿を描いた自伝的漫画です。
読者の間で常に話題となる「この物語はどこまで実話なのか?」という疑問について、島本氏はインタビュー等で「細部の演出や時系列のデフォルメはあるが、心情や出来事の骨格はほぼ実話」と明かしています。庵野氏が自転車を立ち漕ぎしながらアニメの変形シーンを熱狂的に語る姿や、課題提出で周囲を圧倒したエピソードなど、作中の鮮烈な描写の数々は当時のリアルな空気感を克明に反映したものです。
気になる庵野秀明氏本人の反応ですが、実写ドラマ化(福田雄一監督、安田顕が庵野役を熱演)の際にも非常に好意的で、「当時の自分はあんなにカッコよくない」と笑いつつも、島本氏の作品としての面白さを絶賛しています。互いの青春時代をエンターテインメントへと昇華させた本作は、2人の奇妙で美しい信頼関係を象徴する金字塔と言えます。