もんじゃ焼きの成否を握る最大の要素は、生地(タネ)の希釈率です。お好み焼きと異なり、もんじゃ焼きは極めて薄い小麦粉液にとろみづけと味付けを同時に施します。月島の老舗店で長年培われてきた基本配合を家庭用(2人前)に落とし込むと、驚くほどシンプルな数値に行き着きます。
基本となる調合データは、薄力粉20g〜25gに対し、和風だし汁300ml、ウスターソース大さじ2(約30ml)です。わずか大さじ2杯程度の小麦粉が、キャベツから染み出るグルタミン酸やだしのイノシン酸を包み込み、加熱によって糊化(α化)することで独特の粘り気とおこげを生み出します。
ここで重要なのが「なぜウスターソースを使うのか」という理由です。中濃ソースやとんかつソースは糖度や増粘剤が多く、高温の鉄板で即座に炭化してしまいます。対してウスターソースは、野菜や果実の抽出液に各種スパイスと酢をブレンドしたさらりとした液体です。熱せられた鉄板の上で酸味が適度に飛び、複雑なスパイスの香りのみが凝縮して残るため、もんじゃ特有の香ばしさを生む必須調味料として定着しています。