ネット上やSNSでは、アヴィーチーの人物像や楽曲に関して一部の誤解が散見されます。それらを客観的事実に基づいて正していきます。
誤解1:「アヴィーチーは単にパソコンでビートを並べていただけのDJだった」
これは完全な誤りです。彼は卓越したメロディメーカーであり、ピアノやギターを用いてコード進行とトップライン(主旋律)を徹底的に練り上げるソングライターでした。2013年のウルトラ・ミュージック・フェスティバルで生バンドとアコースティック楽器をステージに持ち込み、ブーイングを浴びながらも『Wake Me Up』を初披露したエピソードは有名です。彼はEDMプロデューサーという枠組みを超え、エルトン・ジョンやマイク・シノダら大物ミュージシャンからもその作曲能力を絶賛された真の音楽家でした。
誤解2:「遺作アルバム『TIM』は他人が勝手に作った未完成品である」
遺作アルバム『TIM』に収録された楽曲の多くは、ティム本人が亡くなる直前の段階で約70〜90%の完成度に達していました。メロディラインや使用するシンセサイザーのパッチ、ボーカルの配置などは本人のプロジェクトファイルに詳細に残されており、共同プロデューサーのヴァガス&ラゴス(Vargas & Lagola)やカール・フォークらは「ティムが望んだ通りの音」を再現することに細心の注意を払いました。遺族の意向により、商業主義的な改変は一切排除されています。