インターネット上の掲示板やSNSでは、なぜこれほどまでに「不仲説」が一人歩きしてしまったのでしょうか。そこには、平成中期の芸能界を取り巻くメディア構造と、視聴者の認知バイアスが深く関係しています。
当時、月9ドラマの主演級キャストは、制作発表会見から番宣番組まで連日のようにペアで露出を求められました。バラエティ番組で「仲良しアピール」を過剰に行うことが宣伝の常套手段とされていた時代において、シャイで口数が少なく職人気質な山下智久と、当時はまだバラエティ慣れしておらず緊張感を漂わせていた長澤まさみの受け答えは、一部の視聴者に「よそよそしい」と映った側面があります。
さらにファンの間で語り継がれているのが、『プロポーズ大作戦』第8話における伝説のキスシーン裏話です。横浜国際総合競技場(現・日産スタジアム)のスタンドで撮影されたこのシーンは、2人の感情が交錯する重要なハイライトでした。しかし、夜間ロケの限られた時間枠、吹き付ける強風、そして互いの照れや緊張が重なり、複数回の撮り直し(NG)が発生しました。
このテイク重ねの事実が、現場の一部スタッフから外部へ伝わる過程で「キスを嫌がった」「空気が凍りついた」と誇張・歪曲され、週刊誌のセンセーショナルな見出しへとすり替わっていったのが真相です。実際には、監督が求める「切なさと衝動が同居する美しい画」を追求するための妥協なきテイクであり、演者同士の衝突ではありませんでした。