日常的に鉛筆と比較されるのがシャープペンの替芯や赤鉛筆です。外見や用途は似ていますが、化学組成と製造思想は大きく異なります。
まず、シャーペン芯との成分違いにおいて最も特筆すべきは「粘土を使っていない」点です。直径0.5mmや0.3mmという極細の芯に粘土を用いると、筆圧に耐えられずポキポキと折れてしまいます。そのため、現代のシャープ替芯は黒鉛に「合成樹脂(ポリマー)」を混ぜ合わせ、1,000℃以上の超高温で焼き上げて樹脂成分を完全に炭素化させる「ハイポリマー芯」が主流です。これにより、芯全体が100%近い高純度炭素結晶となり、鉛筆芯とは比較にならない圧倒的な曲げ強度としなやかさを獲得しています。
一方で、チェック用として学校やオフィスで多用される赤鉛筆芯の顔料とワックス成分は、根本的に別ジャンルの製品です。赤鉛筆には黒鉛が一切入っていません。赤色を出すための「合成顔料」に、体質顔料である「タルク(滑石の微粉末)」をベースとし、成形のための植物性油脂、ワックス、水溶性糊(バインダー)を練り合わせて作られます。高温で焼くと顔料の色素や油分が熱分解して炭素化(黒色化)してしまうため、赤鉛筆の芯は「一切焼かない非焼成」で自然乾燥・加熱成形されているのが決定的な違いです。