1960年代、日活は映画界を牽引する3人の看板女優を「日活三人娘」として大々的に売り出しました。国民的ヒロインとして社会現象を巻き起こした吉永小百合、妹キャラとして愛された天真爛漫な和泉雅子、そして誰もが見惚れるビジュアルクイーンだった松原智恵子です。
世間的な知名度や受賞歴においては吉永小百合が大きくクローズアップされがちですが、当時の映画ファンや映画館主の間では「ヴィジュアルの完成度とスタイルの良さは松原智恵子が随一」という評価が定着していました。3人のキャラクターと魅力を客観的な指標で比較すると、当時の映画界におけるそれぞれの明確な役割分担が見えてきます。
吉永小百合との関係について、松原智恵子自身も後年のインタビューで「小百合ちゃんは本当に勉強熱心で尊敬する存在だった」「現場で張り合うようなギスギスした感情は一切なく、互いに自分の個性を尊重していた」と述懐しています。吉永が演劇性とリアリズムを追求する中で、松原はスタイリッシュで華やかな銀幕のミューズとしての役割を全うし、独自のポジションを確立していったのです。