香水ボトルのフタを開けようと回しても空回りしたり、スプレー金具がビクともしなかったりするのは、決して初期不良ではありません。市販されている多くの香水ボトルは、「カシメ(クリンプ)式」と呼ばれる特殊な密着加工でスプレーユニットがガラス口に強固に固定されています。
フレグランス業界の製造基準において、エタノールと繊細な天然・合成香料で構成される香水は、外気との接触を極限まで嫌います。カシメ構造は、金属スリーブを高圧で圧着することで密閉率99.9%以上を保ち、長期間にわたるアルコールの揮発と香料の酸化を防ぐために採用されている安全設計なのです。
一部のメゾンフレグランスやボディミストには回して外せる「ネジ式ボトル」も存在しますが、近年のプレミアム香水ボトルの約85%以上はカシメ式です。この構造を理解せずにペンチやニッパーで金具を引きちぎろうとすると、ボトルネックのガラスに微細なクラック(亀裂)が入り、破片が内部に混入するばかりか、最悪の場合は手の中でボトルが粉砕する重大事故につながります。スプレー部が回らないボトルは「開かないのが正常」と認識し、開けずに中身を吸い出す、またはノズル経由で移すアプローチへ切り替える必要があります。