イラスト制作で初心者が最も苦手意識を抱きやすいのが、ダイナミックなアクションを描く際の「握りこぶし」と、極端な角度がつく「アオリ(見上げ)・フカン(見下ろし)」です。
握りこぶしを描く際の決定的なコツ
握りこぶしを上手に描く鍵は、「指が内側に巻き込まれる構造」を忠実にシミュレートすることです。
拳を握った時、手の甲に見えるナックル部分(MP関節の骨の突起)は、中指をピークにした尖った山型になります。初心者がやりがちなミスは、指の第2関節部分を平らな横並びにしてしまうことです。指を折りたたむと、第1節・第2節が手のひら側に向かって放射状に集まるため、正面から見ると人差し指から小指にかけて段差が生まれます。
さらに重要なのが親指のロック位置です。親指は、しっかりと握り込んだ場合、人差し指と中指の第2関節の上に乗せるように配置します。親指を中指より奥まで巻き込ませたり、外側に逃がしすぎたりすると、脱力したしまりのない手になってしまいます。
アオリ・フカンで立体感を失わせないパース表現
煽り(アオリ)や俯瞰(フカン)で手を描く際、輪郭線だけで処理しようとすると指同士の距離感が狂い、平面的に潰れてしまいます。ここで威力を発揮するのが「オーバーラップ(重なり合い)」の技術です。
手首から指先を見るアオリ構図の場合、手首の断面を楕円で捉え、その奥に手のひらの肉厚が被さり、さらにその奥から指の各関節が手前を隠すように連続して重なり合います。関節のシワを描く際、円柱の丸みに沿った「回り込み線」を書き込むことで、強い遠近感(パースペクティブ)を鑑賞者に印象付けることができます。