山西料理と聞いて真っ先に思い浮かぶのは「刀削麺」かもしれない。確かに、生地の塊を金属の刃で手際よく鍋へと削り落とす技法は圧巻だ。しかし、この店の真骨頂は刀削麺だけにとどまらない。
たとえば、生地をひとつひとつ指先で丸めて猫の耳のような形に仕立てる「猫耳麺(マオアーミエン)」。見た目の愛らしさとは裏腹に、噛みしめるほどに小麦本来の豊かな甘みが口いっぱいに広がる逸品だ。さらに、セイロで蒸し上げられた円筒状の「莜面栲栳栳(ヨウミエンカオラオラオ)」は、見た目のインパクトと洗練された歯ごたえで訪れる者を魅了してやまない。これほどまでに多様な手打ち麺を一度に堪能できる体験は、本国に旅をしなければまず味わえないレベルである。