ポケモンのダメージ計算において、最もマニアックでありながら実戦で決定打となるのが「補正値の内部表現」と端数処理のルールと経緯です。ハードウェアの制約が厳しかったゲームボーイ時代からの名残として、ポケモン開発陣は長年、浮動小数点演算の誤差を嫌い、4096を分母とする固定小数点風の整数演算(4096丸め)を採用してきました。
例えば、「こだわりハチマキ」の1.5倍は内部的には「6144 / 4096」、「いのちのたま」の1.3倍は「5324 / 4096」として処理されます。各係数を掛け合わせるたびに、一般的な四捨五入ではなく、「0.5未満切り捨て、0.5超切り上げ、ジャスト0.5は特定ルールに従う(いわゆる五捨五超入)」に近い極めて特殊な丸め込みが行われます。
対戦環境で頻出する主要な持ち物・特性の倍率と内部数値を一覧で可視化します。
上表の通り、持ち物と特性の補正倍率一覧を細部まで分析すると、一見「1.3倍」と表記されている命の珠が正確には「5324 / 4096(約1.2998倍)」であり、わずかに1.3倍を下回っているという事実に突き当たります。こうした微細な仕様の積み重ねが、計算ツール上で理論値通りの耐久調整を施したはずのポケモンを「乱数の底辺」で生存させたり、逆にあと1足りずに落とされたりする劇的なドラマを生み出しています。