古くからのファンにとって記憶に新しいのが、かつて横浜駅東口(高島町方面)に存在していた「アニメイト横浜」からの移転劇です。なぜアニメイトは、長年親しまれた東口の路面型ビルから、西口を代表するファッションビル「横浜ビブレ」の中核テナントへと舵を切ったのでしょうか。業界動向と商業施策の両面から取材を進めると、必然とも呼べる3つの構造的要因が浮かび上がります。
第1の要因は、「旧店舗における物理的キャパシティの限界と縦動線のボトルネック」です。旧東口店舗は複数階にわたるビル構造であったため、階段や小型エレベーターに客足が集中し、大型タイトルの発売日には各フロアの移動だけで激しい滞留が発生していました。ワンフロア化による全面バリアフリー化とレジ待ち列の直線確保は、安全管理上の喫緊の課題でした。
第2の要因は、「若者カルチャーの集積地・横浜ビブレとの利害の一致」にあります。アパレル中心の商業施設がEC台頭によって変革を迫られるなか、横浜ビブレ側は熱狂的な実店舗来店動機を持つサブカルチャー・IPコンテンツの誘致を熱望していました。一方のアニメイト側にとっても、西口の圧倒的な人流を取り込み、ライト層や女性客が立ち寄りやすい開かれた空間を確保できるという点で、両者の戦略が合致した結果です。
第3の要因は、「モノ消費からコト消費(体験型空間)への転換」です。単に本やグッズを棚から取ってレジに運ぶだけの店舗であれば、ネット通販で代替可能です。現場に足を運ばせる動機付けとして、後述するグラッテや本格的な展示イベントを開催できる「オンリーショップスペース」を同一空間に共存させる必要があり、ビブレ8階の広大な床面積がその受け皿となりました。