森下愛子のキャリアを語る上で欠かせないのが、脚本家・宮藤官九郎との運命的な出会いである。2000年代以降、彼女は「クドカンワールド」になくてはならない重要キャストとして、新境地を開拓した。
TBSテレビ系列で放送された『池袋ウエストゲートパーク』(IWGP、2000年)では、長瀬智也演じる主人公・真島の母親・マコトの母(律子)役を怪演。フルーツ店の店主でありながら、どこか破天荒で憎めないキャラクターを見事に演じ切り、若い世代の視聴者にも強烈な印象を残した。続く『木更津キャッツアイ』(2002年)でも「ローズ」こと浅田美代子的なぶっ飛んだ役どころをキュートに演じ、コメディドラマの枠組みを根底から揺さぶる名演技を披露した。
単なる笑いにとどまらず、ふとした瞬間に漂う哀愁や人情味が作品全体に深い奥行きを与える。シュールな笑いと重厚なヒューマンドラマを見事に融合させる彼女の表現力は、制作者たちから絶大な信頼を寄せられていた。