だが、防護性能の数値だけでマスクの価値をすべて推し量ることはできない。長時間の装着が当たり前となった現代において、不織布素材による肌荒れや摩擦刺激、乾燥といった皮膚障害に悩む人々が急増した。ここで静かな再評価を受けているのが、天然素材である綿100%のガーゼだ。
皮膚科医や衛生用品の専門家は、肌トラブル予防の視点からガーゼの優位性を指摘する。吸湿性と通気性に優れた多層ガーゼは、吐息による内部のムレを適度に逃がしつつ、肌の水分量を保つ保湿効果を発揮する。特に化学繊維アレルギーを持つ人や幼い子ども、あるいは就寝時の喉の乾燥対策において、ガーゼマスクは不織布では代替できない独自の快適性と保護性能を提供している。飛沫遮断という単一の指標から離れれば、その存在意義は今なお極めて高い。