清野とおるという才能が広く世に知れ渡るきっかけとなった代表作が、自らの実体験をもとに描かれた『東京都北区赤羽』だ。竹書房から刊行された本作は、赤羽という街に生息する癖の強すぎる住民たちとの交流を、独特の視点と緻密な観察眼で描いたノンフィクション仕立てのドキュメンタリーエッセイ漫画である。
路地裏のディープな呑み屋、奇妙なこだわりを持つ怪人物たち、日常のエアポケットに潜むシュールな喜劇——それらを面白がりつつも温かい眼差しで掬い取る彼の手腕は、サブカルチャーを愛する読者層を中心に絶大な支持を集めた。従来のコミックの枠組みを打ち破るこの実験的なスタイルは、漫画業界全体に大きなインパクトを与えたのである。