毎年の出場歌手発表時、NHKの制作統括が会見で必ず言及するのが選考基準の骨子です。公式発表資料によると、選考は主に以下の3つの柱を総合的に判断して決定されます。
- 今年の活躍:CD売上、デジタル配信チャート(ストリーミング・ダウンロード数)、カラオケランキング、SNS・動画再生回数などの客観的実績。
- 世論の支持:7歳以上の全国数千人を対象に実施される無作為抽出の電話・WEB世論調査、ならびに『NHK全国県別世論調査』等のアンケート結果。
- 番組の企画・演出:当該年度の番組テーマへの合致度、演出プラン、テレビ放送としての世代間バランス。
しかし、近年の紅白歌合戦の落選理由を詳細に分析すると、デジタルチャートで年間トップ10に入りながらも選外となる事例が頻発しています。その最大の要因は、若年層に偏重しがちなストリーミング指標と、NHKが重視する「全世代を対象とした世論調査」のギャップにあります。どれほどSNSでバイラルを起こしていても、世論調査での認知度や支持率が一定基準に達していない場合、選考会議の最終段階で優先順位を下げられるケースが少なくありません。
さらに見逃せないのがNHK紅白歌合戦の出場枠(紅白合わせて約40〜44組程度)という絶対的な物理的制約です。限られた放送時間内で演歌・歌謡曲、J-POP、ロックバンド、アイドル、アニメソング、企画枠のバランスを均等に配分する過程で、実績が拮抗する同ジャンルのアーティスト同士が激しい椅子取りゲームを強いられることになります。